2018年度 活動レポート 第362号:立命館高等学校

2018年度活動レポート(一般公募コース)第362号

タイ・Mahidol Wittayanusorn Schoolとの科学技術交流プログラム

立命館高等学校からの報告

タイのトップ科学高校であるMahidol Wittayanusorn Schoolと立命館高校は2004年から交流を続けてきています。交流をより深化させるため、お互いの生徒達による共同研究を行いたいと願い、複数年の本プランを利用して取り組みを行ってきました。今回はその3年目、最終年度の取り組みです。

共同研究は順調に動き出し、「イネの塩害」をテーマとして取り組んでいます。日本とタイは米を主食とする共通の文化を持ちつつも、それぞれの国の米の品種は大きく異なります。そのような中で稲作における関心事である「塩害」について研究しようと考えたのです。日本における先行研究として、理化学研究所によるものがあります。今回は、そのお話を聴かせていただくことを中心にプログラムを組み立てました。

12月16日

9名の生徒達と2名の先生が、大きな期待を胸に関西空港に降り立ちました。前半は、立命館高校の体験学習棟に宿泊し、立命館高校、立命館大学、OMRONコミュニケーションプラザでの科学研修が組まれました。立命館高校では、校長先生からの挨拶に続き、オリエンテーション、施設見学を行い、日本文化の体験もしてもらいました。

立命館大学では、この3年間、共同研究を目指して研究活動についての講義をお願いしてきた情報理工学部のエリック・クーパー先生による授業を受けました。講義とプログラミングの実習でした。情報理工学部には卒業までの4年間を英語だけで学べるコースがあり、そのコースで学ぶタイの学生と立命館高校の卒業生が実習終了後にMWITの生徒達と懇談をしてくれました。

プログラミングに挑戦(立命館大学)
大学生と懇談(立命館大学)

OMRONコミュニケーションプラザでは、OMRONを有名にした自動改札のデモ機、そして、センサーを使った最先端技術にも興味津々でした。また京都での研修中には、日本文化を体験してもらうため金閣寺を訪れ、そのすぐそばにある立命館大学衣笠キャンパスでも、最新の図書館を見学してもらいました。

自動改札デモ機に興味津々(OMRONコミュニケーションプラザ)

12月20日

新幹線で東京へ移動。東京では、理化学研究所、東京大学医科学研究所、お茶の水女子大学を訪れ、今回の共同研究に関わって、植物の研究者から講義を受けることや、施設の見学をさせていただき、大いに有意義な経験を得ることができました。

理化学研究所では、佐古香織先生からイネに関わって様々なストレス応答についてのお話を伺い、東京大学医科学研究所では、佐生愛先生からイネを使った経口ワクチンについての講義、お茶の水女子大学では植村知博先生による植物細胞内でのメンブレントラフィックに関する講義と液胞や細胞質を蛍光タンパク質GFPとRFPで光らせた遺伝子組み換え植物の根を蛍光顕微鏡で観察する実習を行っていただきました。

また、東京工業大学で学ぶMWITの卒業生5名が今回来日の恩師や後輩達に会いに来てくれて、楽しいひと時を過ごすことも出来ました。5名の卒業生は、過去のさくらサイエンスプログラムも含め、立命館高校への来校者がほとんどでした。

研究室見学(東京大学医科学研究所)
遺伝子組み換え植物の根を観察する実習(お茶の水大学)

12月23日

再び大阪へと戻り、多くの成果と友情と胸に帰国の途に着きました。

タイMWITの生徒達、また、立命館の生徒達にとっても実り多き3年間の取り組みであった。このような機会をいただけたことに心より感謝を申し上げます。