2018年度 活動レポート 第206号:ときの羽根

2018年度活動レポート(一般公募コース)第206号

海洋科学技術が被災地の水産業復興に与えた影響を学ぶプログラム

東京海洋大学グローバル教育研究推進機構
教授 小松 俊明さんからの報告

(一社)ときの羽根の中国側パートナーである湖北省対外科学技術交流中心との連携で、2018年9月23日~29日に湖北省の黄岡市外国語学校と武漢中学から16人(教師3人・高校生13人)を招へいしました。

テーマは「環境保護・先端医療介護」ですが、招へい者への事前アンケートにより「なぜ日本人は環境意識が高いのか?」「なぜ日本人は秩序正しくルールを守るのか?」等について、日本初訪問の高校生が交流プログラムを通して自ら回答を導き出すことを目標に立案しました。

9/24(火)

①伊勢慶友病院「伊勢メディケアセンターひかりの橋」

  • 堂本洋一院長「認知症とこれからの医療保険と組み合わせた介護について」講演
  • 老人たちと一緒に歌を歌い、黄岡市外国語学校の高校生が二胡を演奏
  • 入浴補助における最先端の医療機器やロボットを活用したリハビリ指導を体験

②懇親交流会/皇學館大学の張磊教授(人工知能)と同大の中国人留学生10人と交流

写真1
伊勢慶友病院「伊勢メディケアセンターひかりの橋」にて

9/25(火)

③伊勢神宮(外宮)早朝参拝。伊勢観光協会の西村専務理事に案内頂く

  • 毎日原始的な方法で火を起こして食事を捧げることなど1500年以上続く神事や20年毎の遷宮について(200年かけて神木を育て社殿や宝物を復元)説明を受ける

④三重県立伊勢高校(スーパーサイエンスハイスクール指定校)を一日体験訪問

  • 眞崎校長の英語の歓迎挨拶後、数学、英語、美術、家庭科の授業を受講
  • 昼食を伊勢高校生と一緒に食べ、サイエンスクラブや天文クラブとも交流
  • 角屋教頭先生の武道を見学し空手のワークショップを実践
写真2
三重県立伊勢高校にて

9/26(水)

⑤竹内志摩市長の代理で松井市民生活部長が志摩市横山展望台施設で歓迎挨拶

  • 浦中室長(政策推進部里海推進室)が英虞湾を見渡しながら伊勢志摩国立公園の特徴やSDGsの取組など志摩市の市民連携による環境保護活動について説明

⑥志摩環境事業協業組合を訪問

  • 宝門理事長の挨拶と「志摩地域の下水処理対策」と「三重大との共同研究事業」の説明

⑦志摩観光ホテルで「G7サミット会場」や国際会議VIP宿泊施設等を見学

⑧近鉄アクアヴィラホテルの汚水処理施設で排水を浄化後に海に流す管理システムの見学

写真3
G7伊勢志摩サミット会場視察

9/27(木)

⑨三重大学大学院を訪問

  • 金子聡教授(工学研究科分析環境化学)担当で国際シンポジウムと博士課程プレゼン見学
  • 工学研究科長の畑中重光教授の英語の歓迎挨拶と記念品交換
  • 柿沼誠教授研究室(生物資源学研究科)で海苔養殖と真珠の研究について説明を受ける
写真4
三重大生物資源額研究科・柿沼教授の研究室見学

9/28(金)

⑩「四日市公害と環境未来館」見学

  • 岡田副館長の挨拶、中丸氏の説明で四日市公害問題の歴史と現状について学ぶ
  • 中国語映画で四日市公害の裁判など視聴し、当日の四日市の青空の意味を再認識する

⑪「トヨタ産業技術記念館」では、阪本マネージャーの案内で自動織機から自動車へのイノベーションの歴史やモノづくり精神に徹するトヨタ企業理念について学ぶ

写真5
「四日市公害と環境未来館」見学

受入れ機関としての総括と成果など

1) 昨年湖北省対外科学技術交流中心の主任や部長との会合や本年2度湖北省を訪問して校長、教師と会合を持ったことで信頼関係が構築できており、申請前のアンケート依頼から帰国後の招へい者報告書作成まで比較的スムースに進展することができました。
2) 全員に毎日レポートを提出してもらい、一人ずつの感想を団長、通訳、スタッフと確認しながら健康状態や提案事項を把握することで、個人面談や翌日のプログラムに反映させることができました。同時に招へい者が他者のレポート内容を共有することでプログラム内容を客観的に理解することに役立ち、2高校の生徒に連帯感が芽生えました。
3) 伊勢高校訪問時に選択美術の授業で伊勢高校生が作成した「日本文化紹介ポスター」作品15点を黄岡市外国語学校で開催した「長江流域生物多様性保護活動-第4回子ども環境教育サミット」(11/29-30)の会場で紹介し(弊法人が主催団体として参加)、伊勢高校生の黄岡市外国語学校へのメッセージをビデオレターで紹介することができました。
4) 9月に招へいした教師、高校生と約2か月後に湖北省で再会した際、生徒たちから手書きのお礼状を何通もプレゼントされました。SSPでの日本初訪問の経験を誰もが幸運であると感謝して日本を好きになり、大学受験を目指して更に学力を付けることや日本語の勉強をして日本への留学を希望する学生が多くいました。「さくらサイエンスプログラム」に改めて感謝と敬意を表するとともに招へい者との日中双方向の交流の大切さを実感しました。