2018年度 活動レポート 第204号:品川区

2018年度活動レポート(一般公募コース)第204号

品川区とモンゴル高専との長期的な人材交流およびネットワーク強化のための実践的な技術者教育プログラム

品川区からの報告

品川区では、さくらサイエンスプログラムの支援を受けて、2018年8月27日から9月3日まで、モンゴル国の高専(高等専門学校)の学生9名および引率の教員1名、計10名を品川区へ招へいしました。

このプログラムは、2014年の9月に設立されたモンゴル国の高専の学生と区内製造事業者・都立産業技術高等専門学校(都立高専)等との科学技術分野における交流・連携事業を実施することにより、長期的な科学技術分野での相互交流を図るとともに、技術者不足に悩む区内製造事業者における人材の確保、技術者の育成および事業の継続を支援するために実施しており、昨年に引き続き2回目の開催です。

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笑顔で空港に到着

品川区にある中小企業事業者の優れた技術や製品に触れていただくため、区内の3事業所(㈱三ツ矢、㈱東京鉸製作所、㈱CAMI&Co.)を訪問し、それぞれ工場見学やメッキ体験、プログラミング等の実習を行いました。初めて見る製品や工作機械、技術等を目の当たりにし、実習中や講義後には多くの質問が出ていました。㈱東京鉸製作所では、昨年このプログラムに参加した学生がインターンシップ中であり、先輩学生が実際に企業で実習している姿を目の当たりにし、刺激を受けた様子でした。

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㈱三ツ矢でのめっき体験
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㈱CAMI&Co.でのプログラミング実習

また、都立高専の学生との交流事業として、共同で電子回路用電源の製作実習を行いました。はじめに製作内容や回路図の確認等をした後、コンセントプラグやトランスの設置、配線作業などを行いました。短期間の製作期間でしたが、ハンダゴテを使った回路の接続や最後の動作確認時の微調整等、それぞれの作業工程において都立高専の先生や学生の皆さんが熱心にアドバイスをしてくださり、全員が無事に電源を完成することができました。

作業の合間には、お手伝いしてくださった高専生のロボットや10月開催のロボコンに出展予定のロボット製作の様子を見学させていただくなど、同世代の学生の取り組みに刺激を受けていた様子でした。

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都立高専での電子回路用電源製作実習

その他、プログラムの中では、品川区が2015年6月に新たに開設した品川産業支援交流施設(SHIP)において、品川区の紹介や施設見学を行いました。工房では実習を行うとともに、日本で働いているモンゴル人の先輩より、日本に来たきっかけや日本での生活等についてお話をしていただきました。

また、江東区青海(お台場)にある東京都立産業技術研究センターや品川火力発電所を訪問し、最先端の設備等の見学をさせていただきました。東京都立産業技術研究センターでは、なかなか見ることができない試験設備(高電圧試験設備等)を案内していただきました。品川火力発電所ではモンゴルの火力発電所との違いについて教えていただき、少ない従業員でいかに効率的に火力発電所を稼働しているかを見学することができました。

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品川火力発電所の見学

さらに、日本文化体験として、浴衣着付けやお箏の演奏体験や茶道体験、バスでの品川区内・東京都内の視察などの機会も設けました。

最終日には、8日間の交流事業の成果発表を行いました。交流事業を通して学んだことや感じたこと等について、学生一人一人が発表しました。最後に品川区の中川原副区長より修了証の交付を行い、記念品の贈呈を行いました。

品川区では、本交流事業の次のステップとして1か月のインターンシップを同時期に実施しました。次年度以降も、引き続き本交流事業で培った経験を活かし、交流を深めていけるようさらなる取り組みを進めて参りたいと思います。