2018年度 活動レポート 第139号:長崎大学

2018年度活動レポート(一般公募コース)第139号

東シナ海を取りまく最先端の水産科学を理解し日中共同研究を推進する

長崎大学水産学部からの報告

平成30年8月22日~平成30年8月31日(10日間)、中国・揚州大学環境科学と工程学院、浙江海洋大学食品及び医薬学院から大学生10名、教員2名を招へいし、プログラムを実施しました。

送り出し機関のひとつである揚州大学は、中国の教育部と江蘇省共同で設立した総合大学であり、特に海洋資源生物に関連する科学研究と人材育成に注力しています。

同じく送り出し機関の浙江海洋大学は、中国海洋局と浙江省の共同で設立された総合大学で、教育・研究の展開に努力し、海洋利用を支える人材を育成しています。

長崎大学は両機関と学術交流協定を締結しており、申請者を含め本学大学院水産・環境科学総合研究科(水産学部)の教員らを中心に、東シナ海における水産海洋研究を精力的に行っています。

そこで、本プログラムでは、東シナ海から得られる海洋の恵みを有効に利用するため、西日本における最大水揚げ高を誇る長崎漁港を中心に、その周辺の水産関連施設などにおいて、最先端の水産科学研究の学習と理解、および日中両国の学術交流を通して、今後の東シナ海の恵みをテーマとした共同研究を積極的に推進することを目的としました。

本プログラムの日程(概要)は以下の通りです。

第1日目 来日
第2日目 開講式,歓迎会,長崎大学研究室訪問,長崎蒲鉾水産加工業協同組合訪問,長崎漁港水産加工団地協同組合訪問
第3日目 長崎魚市場訪問,長崎市新三重漁業協同組合訪問,漁民直売所訪問
第4日目 長崎大学研究室訪問,長崎市科学館訪問
第5日目 長崎歴史文化博物館・出島訪問
佐世保市に移動
第6日目 佐世保市水産センター訪問
長崎市に移動
第7日目 水産研究・教育機構西海区水産研究所訪問,長崎県総合水産試験場訪問,長崎大学水産学部附属練習船長崎丸訪問
第8日目 長崎市水産センター訪問,長崎大学水産ミュージアム等訪問
第9日目 研究発表交流会,修了式,懇親会
第10日目 帰国

長崎大学研究室訪問では、海洋生物化学、食品栄養学、微生物・遺伝子解析学、魚病学などの水産科学分野における日中の最新の情報・意見交換や交流を行いました。

写真1
長崎大学水産学部海洋生物科学研究室訪問_研究紹介の様子

特定第3種漁港に指定されている長崎漁港に隣接する、長崎蒲鉾水産加工業協同組合や長崎漁港水産加工団地協同組合では、水産加工分野における最先端の衛生管理や危機管理、環境への配慮を、長崎魚市では漁獲水揚げの実態を見学しながら、日本における漁業と中国における漁業の違いを学習しました。

関連して、長崎市新三重漁業協同組合訪問や漁民直売所訪問では、長崎県における地産地消について学びました。さらに、長崎市科学館や長崎歴史文化博物館・出島にて、長崎の自然環境や歴史文化、科学技術史について学び、自然、産業、科学技術について考察しました。

佐世保市水産センターや長崎水産センターでは、魚類・貝類における最先端の種苗生産技術を学習しました。また、水産研究・教育機構西海区水産研究所では、最先端の養殖クロマグロの採卵・種苗生産技術を、長崎県総合水産試験場では、水産食品加工の伝統的技術と最先端技術を併せて学習しました。

写真2
佐世保市水産センター訪問_飼育設備の見学の様子
写真3
西海区水産研究所訪問_最新のマグロ養殖技術紹介の様子

また、平成30年4月に竣工した最新鋭の長崎大学水産学部附属練習船長崎丸にて、東シナ海を取り巻く漁業の実態について最新の情報・意見交換や交流を行い、最新の漁業・調査研究について学習しました。

さらに、水産ミュージアムなどの長崎大学附属施設も見学し、長崎大学がリードする最先端の科学技術を学びました。

写真4
長崎大学水産学部附属練習船長崎丸訪問_ブリッジ見学

本プログラムの結びとして、長崎大学、揚州大学、浙江海洋大学の学生らが東シナ海を取りまく最先端の水産科学をテーマに研究発表を行い、活発な討議や有意義な意見交換がなされ、その後に修了式と懇親会が盛大に開催されました。

写真5
修了式後の記念撮影

本プログラムの実施により、今回招へいした中国・揚州大学と浙江海洋大学の優秀な青少年が中心となって、今後、東シナ海の恵みをテーマとした日中の共同研究が積極的に推進されるものと大きく期待されます。