2018年度 活動レポート 第64号:新潟大学

2018年度活動レポート(一般公募コース)第064号

アジアの若者が、日本海地域の多様な生態系とその保全について学ぶ

新潟大学農学部からの報告

2018年7月22日から31日までの10日間、中国雲南省にある中国科学院シーサンパンナ熱帯植物園より中国人学生をはじめ、インドネシア、ネパール、スリランカ、フィリピン、パキスタンから総勢10名の学生を迎えて研修を行いました。今回の研修では、新潟県の佐渡島や青森県の白神山地や岩木山など、日本海地域の多様な生態系とその保全について学びました。

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風の影響でトンネル状になった天然杉を潜る

佐渡島初日は、新潟大学臨海実験所にて日本海とそこに生息する生物の特徴についてのレクチャー、所内見学を行いました。その後、臨海実験所の教職員の指導の元、シュノーケルで生物の採取を行いました。研修生の中には、今回初めて海に入る人も居て、初めは怖々といった感じで海に入っていましたが、すぐにシュノーケルにも慣れ、夢中で生物の採取を行っていました。

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日本海の生物を採取します!

採取した生物は、室内で大まかに分類し、各生物について説明を受けながら観察しました。スケッチを取る研修生もおり、海の生物に対する関心の高さを伺うことができました。夜は、佐渡島の自然に関する講義を行い、この研修で見学する植生について体系立てて学ぶことができました。

翌日は、終日、新潟大学演習林において、日本における代表的な植生(常緑広葉樹林、落葉広葉樹林、常緑針葉樹林、人工林)を見学しました。夜は、佐渡ゼミ(一般公開ゼミ)を開催し、シーサンパンナ熱帯植物園の中村彰宏氏、新潟大学大学院生による研究発表が行われました。どの発表でも活発な質疑応答がありました。

佐渡島3日目は、午前中に林間放牧を中心とした半自然草地であるドンデン山に移動し、牛を利用した循環型農業と半自然草地の維持管理についての歴史を学びました。午後は佐渡の国仲平野で休耕水田を利用したビオトープで見学及び生き物調査を行い、かつては里山や里地に多く生息していた生物やそれを餌としていたトキについて学びました。

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佐渡島の里山の生物を観察
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たこ足状の天然杉の下で休憩

研修の後半は、青森県弘前市に移動し、弘前大学の教員らの指導のもと、岩木山山頂の偽高山帯の植生やそこに生息する昆虫群集、白神山地の多様な生態系について学びました。夜は、白神自然環境研究センターの中村剛之准教授によるセミナーや、弘前大学の各教員によるワークショップが行われました。

10日間の佐渡、弘前での研修を無事に終え、全員無事帰国をしました。研修の中では、日本海地域の多様な生態系とその保全についての学びだけでなく、様々な日本の文化にふれる機会もあり、親交も深めることができました。今回の研修が将来、日本と各国との交流の架け橋になれば幸いです。

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さくらサイエンスプログラムの認定式