2018年度 活動レポート 第61号:福岡アジア都市研究所

2018年度活動レポート(一般公募コース)第061号

中国の若手研究者が低炭素スマートシティのキーテクノロジーを学ぶ

福岡アジア都市研究所からの報告

本プログラムは、分散型エネルギーシステムやIoT技術、情報サービスなど低炭素スマートシティキーテクノロジーにおける日本の先端研究施設やパイロット事業を視察訪問し、日本の進んだ研究開発と産業振興モデルを学び、相互理解を深めながら、低炭素スマートシティキーテクノロジーの研究や、低炭素スマートシティネットワークの建設、さらに低炭素スマートシティ発展モデルの最適化と関連産業の発展における日中交流・協力の可能性を探る目的で企画されたものです。

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水素自動車の前で記念写真

日本は環境やエネルギー関連の研究開発では世界の最先端を走っていると評されます。政府もエネルギーを「創り・蓄え・賢く使う」高度循環型社会を築くことを目標に、「環境未来都市創造」に関する諸施策を実施しています。さらに福岡県は内閣府よりグリーンアジア国際戦略総合特区の指定が行われ、環境ビジネスのアジア展開を推進しています。

そこで中国科学院上海高等研究院(高研院)とのコーディネーションにより、2018年5月27日から6月3日の日程で、高研院の若手研究者8名を招き、九州大学水素エネルギー国際研究センターにおける先端的な研究開発や、福岡市、北九州市、佐賀市、みやま市などグリーンアジア国際戦略総合特区またはバイオマス産業都市に指定されている自治体で実施されているパイロット事業の実態について視察研修を行いました。

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熱心に質問する参加者たち

福岡市では、水素リーダー都市プロジェクト「世界初の下水を活用した水素ステーション」と九州大学「水素エネルギー国際研究センター」を訪問し、水素の製造・貯蔵・使用並びに産学官連携の現状などについて研修しました。また、21世紀先進モデル都市アイランドシティの「スマートハウスプロジェクト」と「CO2ゼロ街区」を見学し、新しい住まいの在り方とエネルギーコントロールシステムの関係について研修しました。

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「下水から水素を」について説明を受ける参加者たち

北九州市では、エコタウンを訪問し、公害克服の歴史を学んだあと、「次世代エネルギーパーク」(響灘地区)を視察し、風力発電、太陽光発電、LNG貯蔵基地、電気自動車など関連施設設備の設置及び運用について研修しました。

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太陽光発電装置について訊ねる参加者たち

佐賀市では、清掃工場を視察し、日本初の二酸化炭素分離回収設備等を見学しました。また、下水浄化センターを訪問し、下水資源有効活用の現場を見学しました。バイオマス産業の振興に力を入れる佐賀市の取り組みに参加者が大きな感銘を受けました。

みやま市では、日本初のエネルギー地産地消都市で推進されているHEMSプロジェクトについて研修し、地産地消の現場も視察しました。

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研究所の副理事長から一人一人に修了証が手渡されました。

本プログラムの参加者が帰国後に提出した28ページに上る総括報告書(中国語)の中に、訪問先について詳細な記録があり、参考に値する内容も多く記されています。最後の感想部分では、次のような表現で日本社会及び訪問先に対する印象をまとめています。

1.干净整洁、井然有序。2.谦卑有礼、细心周到。3.源于需求、高效利用。4.目的明确、构建体系。5.开拓创新、循环经济。6.孜孜以求、精益求精。7.以人为本,全民参与。

和訳を試みると、1.清潔で衛生的、秩序整然 2.謙虚で礼儀正しく、思慮深い 3.需要に応じた効率利用 4.目的明確なシステム構築 5.先駆的、革新的な循環型経済 6.勤勉、向上心旺盛 7.人間本位、大衆参加型