2018年度 活動レポート 第11号:大阪大学

2018年度活動レポート(一般公募コース)第011号

中国の大学生が、日本の材料科学と環境工学に関する最先端技術を体験

大阪大学からの報告

大阪大学では、2018年5月13日から5月20日の8日間、中国・鄭州大学基礎工学院から8名を招へいし、科学技術交流プログラムを実施しました。

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深尾研究室での交流

本プログラムは鄭州大学基礎工学院の学部学生に対する日本の材料科学と環境工学に関する最先端技術の実習と見学による人材育成が主たる目的でした。日本の最先端研究・技術の体験実習などを通して、大阪大学の学生との交流を深めるとともに、専門研究分野のみならず、関連分野を含めて広い視点から材料科学と環境工学を学ぶ場となりました。また、日本の科学技術の発展、日本文化・芸術に対する理解を深めさせ、日中間における友好的な視野を広げられました。

大阪大学工学研究科応用化学専攻にて最先端の科学、特にナノ材料研究の最前線を理解する体験学習を行いました。納豆のネバネバ成分であるポリグルタミン酸を用いた水質浄化実験、グラインダーを用いたナノセルロースの作製、走査型電子顕微鏡を用いた高分子多孔質材料のサンプル観察を通して、日本の世界レベルの科学技術を肌で感じ、日本の大学における研究の一端を実感することができました。

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応用化学専攻内での実験内容説明

特にポリグルタミン酸を利用した水浄化技術は濁った汚水が瞬時に透明になるために学生の関心が高く、中国でも是非、試してみたい、といった感想がありました。その原理を理解させることで、水浄化への関心を高める工夫を行いました。ナノセルロースは世界的に注目されている材料であり、その作製を体験したことは若い研究者の刺激となりました。

写真3
ポリグルタミン酸を用いた水処理実習風景

このような最先端科学技術の体感実習は、鄭州大学の学生に対する日本の科学技術レベルを知る良い機会となったと考えています。これらの実習は大阪大学大学院生が中心となって行ったため、最先端科学技術を通した鄭州大学と大阪大学の若手研究者・学生の交流となりました。日中の将来的な橋渡しにつながる礎になることを期待します。

このような草の根的な交流はFace-to-Faceの繋がりであるため、表面的な交流と異なるものであり、今後の交流のきっかけとなることを願っています。大阪大学内の産学連携施設(Hitz協働研究所)では、中国のバイオマスを利用したプラスチック開発の事業化を学びました。中国の広大な国土を活かした材料開発の事業化を日本が役割を担っていること、バイオマスを利用することによる地球環境保全(地球温暖化ガスの削減)、このような最先端技術に対する日中の事業化連携について知る絶好の機会となりました。

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Hitz協働研究所の見学

大阪大学外国語学部深尾研究室ではお互いの文化や生活習慣など、学生の視点から紹介し合うことで、活発な交流を行いました。中国語を通した国際的な文理融合を行う場となり、鄭州大学と大阪大学の学生に大変好評でした。大阪市立科学館、島津創業記念館、カップヌードルミュージアム、ナレッジキャピタルのThe Lab(グランフロント大阪)、京都国立博物館の見学を通して、日本における産業技術の発展や日本文化を知る機会となりました。

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大阪大学内でのランチ