2018年度 活動レポート 第8号:電気通信大学

2018年度活動レポート(一般公募コース)第008号

中国の学生が表面筋電計測と筋電義手制御に関する技術を学ぶ

電気通信大学からの報告

平成30年5月28日~6月6日の10日間、さくらサイエンスプログラムの支援を受け、中国・南開大学情報制御工学院の大学院生10名と引率教員1名を電気通信大学脳科学ライフサポート研究センターに招へいし、表面筋電計測と筋電義手制御に関する技術研修を実施しました。

生体電気信号の計測と解析、および生体信号から解読されたヒトの意図によるロボットの制御技術は、医療福祉技術を進化させるキーテクノロジーであり、近年世界的に注目を浴びています。本交流計画においては、皮膚の表面から筋電信号を計測するにあたり、信号の安定性と性質に大きく影響する電極に着目して新しく開発された積層型筋電電極の製作の研修を行いました。

来訪学生を3つのグループに分け、受け入れ側学生とともに異なる材質の電極を試作し、それぞれの電極を使った計測で得られた筋電信号の質を比較しました。さらに、見学、報告会、修了式を開催することで、教員・学生間の交流を深めました。

1. 研究室紹介と研究内容の説明

5月29日、招へい学生一行が電気通信大学脳科学ライフサポート研究センターに訪れ、受け入れ側学生と互いに自己紹介した後、受け入れ側教員による筋電計測と筋電義手に関する講義が行われました。講義では、筋電義手の概要、筋電信号の発生メカニズム、筋電計測と解析の課題や解決策について紹介され、日常生活における応用によって筋電電極の重要性が強調されました。講義の後、TAの学生が積層型筋電電極の作り方の説明を行い、3つのグループがそれぞれ担当する材料配合の順番を決めました。

写真1
筋電計測と筋電義手に関する講義

2. 積層型筋電電極の製作と評価

説明の後、3グループに分かれて、筋電センサの製作を電極材料の作成から始めました。材料の作成は、招へい学生の専門分野と全く異なるにもかかわらず、皆さんは興味津々で熱心に取り組んでいました。チームワークを取りながらTAの学生と交流し、5日間の努力の結果、材料から筋電センサまで完成させました。さらに、自作した筋電センサを用いて、筋電信号を計測し、計測信号のSN比により筋電センサの性能を評価しました。電極材料の異なる12種類のセンサを評価し、最適な材料の選定を行いました。

写真3 電極材料の作成
写真4 筋電センサの設計

3. ラボツアーと文化交流

6月2日(土)電気通信大学の大学院オープンラボを利用し、学内のラボツアーを行いました。招へい学生らは情報、電子、材料、機械、化学など様々な分野の研究室を見学でき、日本の大学の研究の多様性と自由を実感できました。また、6月3日(日)には富士山ツアーを企画し、招へい学生待望の富士山を見学し、昼食の日本料理も堪能しました。

写真4
富士山五合目での写真撮影

4. 報告会、修了式

筋電センサ共同研究の成果と交流の感想をまとめ、6月5日に成果報告会を開催しました。成果報告会には多くの教員と学生が参加し、活発な議論を行い、交流を深めました。交流会の後、さくらサイエンスプログラムの修了式を行いました。

以上の交流活動を通して、招へい学生が筋電信号や義手制御技術について理解を深められ、日本の大学の研究室生活についても体験することができました。日本の自然・社会・文化の特色も実感でき、来訪者は充実かつスムーズな実施プログラムを高く評価しました。受け入れ側教員とTA学生の熱心な対応に感謝の意を表すとともに、今後共同研究を深めたいとの感想をもらいました。

写真5
修了式にて