2017年度 活動レポート 第343号:慶應義塾大学大学院

2017年度活動レポート(一般公募コース)第343号

日印をつなぎ、新しいネットワークアーキテクチャを切り拓く研究者の育成

慶應義塾大学大学院からの報告

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左から: 鈴木(筆者)、プラシャンス、シラージ、バンミータ准教授、TAの松尾

我々の研究グループでは、かねてよりIndian Institute of Technology Hyderabad(インド工科大学ハイデラバード校 – 以下 IITH)との間で、学生の受け入れや教員による訪問などの交流があります。2017年の秋に、2017年春の鈴木のIITH訪問を機とし、IITHの片岡教員とのやり取りから、さくらサイエンスプログラムを活用してIITHの学生を日本に招いてともに研究に取り組むことになりました。

受け入れは、ブロックチェーン技術の研究を対象として鈴木、量子計算の研究を対象としてロドニー・バンミータ准教授が担当可能ということで、7月から準備を始めました。IITH側で希望者が募られ候補選択がなされ、ブロックチェーン技術はVenkata Naga Pranshanth(以下プラシャンス – 男性)さん、量子計算について Shiraj Arora(以下シラージ – 女性)さんが訪日して取り組むことになりました。

筆者らは、慶應義塾大学の湘南藤沢キャンパス(通称SFC)に研究室があります。片岡氏との議論で、SFCの研究を外部に紹介年次イベントである「SFCオープンリサーチフォーラム」(通称ORF)の時期に合わせ、来日してもらい、SFCの研究全体についても学んでもらえるようにしました。この理由から、訪問時期をORF開催の11月22日および23日を含むように調整し、2017年11月20日(月)日本到着、12月10日(日)日本発という日程としました。

最初の1日はSFCでのオリエンテーション、2日目および3日目はORFを見学するとともに、担当のバンミータおよび鈴木と滞在中の研究方針について議論しました。以降、帰国するまでの間は、週末の自由行動時間を除き、研究活動に没頭する形となりました。

期間中、筆者とともにブロックチェーン研究を進めたプラシャンスさんとの活動について述べます。彼は、SDNと呼ばれるコンピュータネットワーク技術へのブロックチェーン技術の適用を研究することを、事前準備期間中に鈴木と合意していました。来日した後に細かく議論した結果、研究によって解こうとしている問題が、その技術を利用する当事者にとっては魅力的では無いのではないかという疑問が生じました。当事者の利用に即した形で魅力的な提案でなければ、提案する技術の妥当性の点で説得力に欠けるものとなってしまいます。そのため、実際に使われる場面(ユースケース)を起点とした提案をするための考え方について議論を始めるところから、具体的な方式などについて、関連研究調査を進めることで、活用価値が高い形の提案へと軌道修正し、今後の研究を進める土台を固めました。

研究を進めるのにあたっては、我々教員とのコミュニケーションだけでなく、学生ともコミュニケーションを図る機会をもちました。筆者、バンミータそれぞれの研究グループに所属する学生に混じり、ゼミに参加しています。両グループとも従来より留学生が参加しているグループですが、より国際色豊かなミーティングとなりました。

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海外の方々を日本に招く際、心配なのは寝食です。海外に出たとき、寝食の点で心配があると、仕事や勉強は手につかないものです。参加者2人とも日本の食べ物に色々とチャレンジし、いくつかの食べ物については気に入ってくれたようです。ホテルについても快適であったそうです。

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また、オフの日には、浅草や東京スカイツリー、江ノ島などを回ったと聞いています。
21日間と比較的短い時間ではありましたが、日本についての若干の知識を得つつ、研究を一歩進めることができたのではないかと思います。