2017年度 活動レポート 第260号:横浜国立大学

2017年度活動レポート(一般公募コース)第260号

サイエンスとテクノロジーを体験する旅

横浜国立大学からの報告

11月の凛とした空気の中でキャンパスを包む豊かな木々が色づき始めた頃、横浜国立大学国際戦略推進機構は、中国山東大学から選ばれた6名の優秀な学生と引率教員1名を、さくらサイエンスプログラムにより2017年11月14日から23日までの10日間招へいしました。

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名教自然碑前で

このプログラムは、経済データと政策構造分析分野を主とする教授らの授業やゼミへの参加、先端科学技術の開発と応用を専門とする研究室の見学や学生との意見交換、日本企業の研究所および科学館の見学を主な目的として計画、実施されたものです。

まず初めに経済データの分析を専門とする本学永井教授、パーソンズ教授、池島准教授の授業とゼミに参加し、日本人学生や各国の留学生などと一緒に時系列データや統計データモデルの分析など、積極的に学術交流活動に取り組みました。数日という短い期間でしたが、経済分析分野で活躍しているXavier de Vanssay客員教授の大学院授業も受講し、データ分析ツールの活用手法を学びました。

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応用数学モデルに関するディスカッション
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授業体験

キャンパスツアーでは、工学研究院の下野教授の研究室で、制御・ロボット工学の研究を見学しました。招へい学生たちは、下野教授が開発した力触覚を有する医療福祉ロボットや手術支援応用技術の研究に大変感心した様子でした。特に2次元で作動するモーター技術やそれらを応用して作られたアクチュエータの実物と実験内容に深く興味を示していました。

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研究室の見学(最新の研究装置に興味津々)

こうした本学での研究交流以外に、招へい学生たちは日本のトップ企業の研究所や科学館の見学も行いました。

訪問した富士通川崎研究所は、現在および将来の社会課題を解決するため、常にグローバルな視野で最先端テクノロジーの研究開発を推進し続けて来た研究機関です。当研究所には、先端材料、次世代素子、コンピュータネットワーク、ICTシステムの研究開発の先行研究成果が数多く展示されていました。案内員の方が英語で丁寧に解説してくださったので、招へい学生たちもよく理解できたようで、案内員の方が答えられないほど多くの質問をしていました。

また東芝未来科学館を訪れた際には、特に新エネルギー技術や先進的な半導体メモリ技術の展示に大変興味を示していました。三菱みなとみらい技術館では、日本の宇宙航空技術の展示ブースでシミュレーションを体験し、日本の先端科学技術に対する理解を深めました。

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東芝未来科学館の見学(展示に見入る学生たち)

休日を利用して川崎にある日本民家園を訪れ、日本文化研修を行いました。日本民家園は古民家の野外博物館で、江戸時代の民家など25の文化財建造物が移築・展示されており日本の民間文化を体験するには絶好の施設です。

訪問当日はボランティアスタッフが床上公開と体験のイベントを開催しており、招へい学生たちは古民家の囲炉裏を囲んで、民間行事のパフォーマンスに使う道具に実際に触れて興味津々な様子でした。敷地内の点在する古民家に紅葉の彩が加わりまるで絵画のような景色を前にし、招へい学生たちは美しい日本の風景に感動した様子で沢山の記念写真を撮影するなどして楽しいひと時を過ごしました。

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川崎民家園を見学
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民家内での生活体験(囲炉裏、楽器など)

最終日の研修発表会では招へい学生たちがそれぞれ滞在期間中の体験や感想を発表しました。学生たちは、「今後も山東大学と横浜国立大学との交流活動に積極的に参加し、より一層両校の交流が深まるよう努力したい」「今回のプログラムに参加したことで日本への留学も視野に入れた」などと話していました。

発表会には、学長補佐の永井教授と国際戦略推進機構の教員も参加し講評を述べました。一行は、11月23日に山東済南へ帰国の途につき、同日無事に帰国したことと感謝の意を伝える報告がありました。当プログラムへのご支援、ご協力を誠にありがとうございました。

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研修発表会の様子