2017年度 活動レポート 第203号:日中医学協会

2017年度活動レポート(一般公募コース)第203号

日中の医学交流を深めるプログラム-日本の漢方医薬学を学ぶ

日中医学協会からの報告

さくらサイエンスプログラムにより、2017年10月22日~10月28日の日程で、中国湖北省中医院の若手医師、薬剤師計8名を招へいし、日本の漢方医薬学をリードする大学、研究所、病院、企業の参観を通して、日本の漢方医薬学への理解を深め、日本での研究活動への関心を促すことを目的にプログラムを実施しました。

東京薬科大学

漢方医薬学、臨床薬理学研究の講義を受け、研究室、薬草園、資料館の見学を通して、日本の漢方薬の歴史と発展、漢方薬研究について理解を深めました。

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東京薬科大学・薬草園の見学

ツムラ茨城工場

漢方記念館では漢方医学の確立を学び、製造棟では生薬から製品に至るまでの最先端の製造工程と品質管理体制について見学しました。

写真2
江戸時代の薬用具の見学

北里大学東洋医学総合研究所

日本最先端の漢方医学の基礎研究、トランスレーショナルリサーチの取り組み、西洋医学と漢方医学を融合した診療・治療技術を学びました。

写真3
小田口所長による説明

テルモメディカルプラネックス

手術室や病棟を再現したシミュレーション設備を見学し、本物の感触に近い人体や臓器モデルを用いて医療トレーニングを体験しました。

写真6
医療トレーニングの体験

静岡県立静岡がんセンター

陽子線による先端的がん治療、全人的治療、緩和医療について学びました。

写真4
静岡がんセンター・陽子線治療設備の見学

日本の医療保険制度についての講義

日本の医療保険制度の特徴を学び、医療費増加、人口減少など日本が直面している問題をとりあげ、在宅医療や地域包括ケアについての講義を受けました。日中共通の課題である高齢化社会に向けて、医療や社会の在り方について活発な質疑応答がありました。

訪日団の感想

  • *中国の中医薬学と原点は同じだが、日本に伝わった後、独自の漢方医薬学として発展していることが来日して分かった。
  • *日本での漢方医学の基礎研究、臨床応用研究のレベルの高さに驚いた。
  • *日本人は研究に対しても、物を作ることに対しても、極めるところが素晴らしい。
  • *免疫療法について中国と日本の比較研究をしたい。
  • *漢方製剤の徹底した品質管理に驚いた
  • *静岡がんセンターでの患者中心の医療に感銘を受けた。
  • *日本の医療レベルの高さ、医療サービスの質の高さ、医療保険制度、どれも学ぶべきことが多かった。

今回訪日した湖北省中医院の先生方全員より、研究者として再来日し、共同研究や大学で更に深く学びたいという感想が寄せられました。今後とも日中の医学医療分野での人材交流を通して相互理解を深め、日本と中国が相互に発展し、一層の協力関係を築けるよう貢献したいと考えております。

本プログラムを実施するにあたり、コーディネーターとしてご指導賜りました山田陽城先生(北里大学北里生命科学研究所名誉教授・東京薬科大学客員教授)はじめ、ご協力いただいた関係者の皆様、多大なご支援を頂いたさくらサイエンスプログラムに対して心より感謝申し上げます。

写真5
東京薬科大学資料館にて記念撮影