2017年度 活動レポート 第38号:慶應義塾大学理工学部化学科

2017年度活動レポート(一般公募コース)第38号

共同研究体制と将来に渡る人的ネットワークを構築する

慶應義塾大学理工学部化学科教授 山田 徹さんからの報告

慶應義塾大学理工学部の化学系教員は、中華民国(台湾)國立清華大學の化学系教員と長く親交があり、これに基づき今年度はさくらサイエンスプログラムのご支援を得て、大学院生の受け入れによる共同研究活動を展開しました。 7月3日(月)、國立清華大學の大学院生3名は東京羽田空港に到着、慶應の学生たちが空港まで出迎え、日吉キャンパス近隣の下田学生寮にチェックイン、その後矢上キャンパスで協定研究生の事務手続きを行い、学生証の発給を受けました。

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7月26日(木)9:30 10名の研究員・学生とイ スンヒョン 教授が15号館前にて

3名はそれぞれ反応有機化学研究室、分子生物化学研究室、分析化学研究室に配属され、平日はそれぞれの研究室の学生とともに実験研究活動に従事しました。例えば、本国で鉄錯体触媒による新規反応開発を研究テーマとする学生は、反応有機化学研究室に配属され、銀触媒による二酸化炭素の固定化に関する研究チームで活動し、お互いに新しい知識や技術の習得に努めました。

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実験の様子
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実験の様子

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実験の様子

また、本国では国立衛生研究所を研究拠点としている学生は、ケミカルバイオロジーを専門とする研究室に配属され、双方の学生ともに興味の幅を広げたようです。

休日には、配属された3つの研究室の学生が、輪番で東京近郊を案内しました。多摩川でバーベキュー、渋谷や吉祥寺、お台場でショッピング、 浅草や鎌倉、ディズニーランドや横浜みなとみらい地区など英語を共通言語として双方の学生が楽しく親交を深めながら休日を過ごしました。

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多摩川でバーベキュー懇親会ー 場所: 慶應義塾大学 日吉キャンパス

7月13日(木)午後には、 140名を超える参加者を集めてミニシンポジウムを開催しました。伊藤公平 理工学部長の開会のご挨拶に引き続き、國立清華大學の学生3名のほか、慶應の化学系研究室の大学院生7名、計10件の研究発表があり、プレゼンテーションやディスカッションは英語で活発に行われました。

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ミニシンポジウムの予稿集
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ミニシンポジウムの講演の様子ー 場所: 慶應義塾大学 日吉キャンパス

また、7月20日(木)には、西山繁名誉教授のお世話で大学常任理事(理工学部・国際担当)との面談の後、大学本部(三田キャンパス)と薬学部(芝キャンパス)を訪問し、案内を受けました。キャンパス訪問終了後は三田にある東京タワーを見学し、良い思い出となりました。

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東京タワーにて

慶應で行っている國立清華大學との交流事業は、慶應の大学院生の國立清華大學への派遣とセットで進めてきました。これまで様々な資金援助を受けながら4年間続けてきましたが、博士課程への進学や国際会議でのプレゼンテーション賞受賞につながるなど一定の成果が得られています。

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ミニシンポジウムの講演者ほかー 場所: 慶應義塾大学 日吉キャンパス

今回、さくらサイエンスプログラムに採択されたことで、両校の研究交流をベースに幅広い国際交流に繋げることができました。来年度もさらに発展させていきたいと考えています。