2016年度 活動レポート 第374号:静岡理工科大学機械工学科

2016年度活動レポート(一般公募コース)第374号

ものづくりの実験実習を通し、最先端の技術を学ぶ

静岡理工科大学機械工学科教授
国際交流センター長 十朱 寧さんからの報告

1.静岡理工科大学と中国計量大学の学術交流

中国計量大学は、杭州に位置する学生数約22,000人の総合大学であり、工学・理学・管理学・法学・文学・経済学・医薬学・農学等の計19学部を有しています。

本学とは2008年に学術交流協定を締結し、これまでに留学生の受入れや教員による共同シンポジウム等を開催してきました。また、中国計量大学から本学大学院に入学した2名の留学生は、修士の学位を取得後、静岡県内企業に就職しています。

2.概要

このような経緯から、今回、中国計量大学の学生10名を本学へ受け入れ、本学での研修や本学が位置する、浜松地域の自動車メーカーなどの視察を通し、日本の高度なものづくり技術に対する見聞を広め、日本のものづくり技術と精神を体得することを目的に、2017年2月18日から2月24日まで本事業を実施しました。

3.学長表敬訪問と研究教育施設見学

3日目の午前に、本学の野口博学長を表敬訪問したあと、EPMA・蛍光X線分析室やX線回折・顕微メスバウア装置室等の先端機器を備える「先端機器分析センター」や、学生が授業や卒業研究・製作でものづくりを行う「工作センター」、空力実験室やエンジンベンチ室等を備えて学生の自由なものづくりを支援する「やらまいか創造工学センター」を見学しました。

写真1
学長表敬訪問
写真2
学内施設見学

また、学生フォーミュラプロジェクトチームの学生から、現在大会に向けて製作している、フォーミュラカーについての説明を受けました。中国計量大学の学生達は、日本語や英語で本学の学生に多くの質問を行い、興味津々といった様子でした。

4.実験研修

3日目の午後の本学機械工学科後藤昭弘教授による放電加工研修では、本学マスコットキャラクター “お理工ちゃん” のストラップづくりの実習を行いました。

放電加工実験装置を用いて、ステンレス板に “お理工ちゃん” の顔の形を加工し、フライス盤を用いて、ストラップを取り付ける穴あけ加工を行いました。

写真3
放電加工実験

4日目の私の研究室での熱電発電実験研修では、ペルチェモジュールを用いて熱電発電機を組み立て、温度差による発電実験を行いました。得られた電気でモータを回したり、携帯電話を充電する等、環境にやさしいエネルギー技術の重要性を学びました。

また、メカトロニクス研修では、まず、本学機械工学科益田正特任教授がメカトロニクスについて講義した後、メカトロニクス研究の事例として、研究室にて、移動ロボットやレスキューロボット、建設用のロボット、角度計測システムの研究などを紹介しました。

その後、モータの正転逆転回路、サーボモータの角度制御回路、信号の加算回路などを製作し、実験実習を行いました。

5日目の自動車技術の研究では、まず、自動運転の基礎技術となる、LEDセンサを用いたライントレースカーの製作を行いました。機械部品製作担当と電子回路製作担当に分かれて製作し、両者を組み上げて、実際に走行テストを行いました。

LEDセンサの微妙な調整を行いながら、なんとか全台ライントレースに成功しました。自動運転の概念を学ぶことができ、本学学生との技術交流も深まりました。

次に、本学学生フォーミュラプロジェクトチームの学生から指導を受け、中国計量大学の学生とプロジェクトチームの学生とで合同グループを作り、エンジンの組み立てを行いました。

写真4
エンジン組み立て

両者とも日常的に使い慣れない英語を使った説明や会話に苦戦しながらも、各グループでは笑い声が聞こえたり、笑顔が見えたりと思い思いの交流を図りました。

5.浜松科学館、スズキ歴史館見学

6日目は、本学での研修で得た知識を深めるため、「浜松科学館」と「スズキ歴史館」を見学し、日本の先端技術や、浜松地域における自動車産業の歴史と、技術の高さを学びました。

写真5
浜松科学館見学
写真6
スズキ歴史館見学

6.文化交流

2日目と5日目の夕方、富士山と当地(袋井市)にある寺院「可睡斎」を視察しました。好天にも恵まれ、富士山がくっきりと見えて、忍野八海、浅間神社、白糸滝、ひな祭り、活人剣など日本の自然と歴史に触れることができました。

写真7
白糸滝見学
写真8
可睡斎見学

7.まとめ

中国計量大学の学生と本学の学生との交流会で、中国計量大学の学生に日本や本学の印象を尋ねたところ、「日本はきれい」「技術力が高い」「料理が美味しい」「日本へ留学したい」などの感想を聞くことができました。

また、この活動に参加した本学の学生からも、大変良い刺激になったとの意見を聞くことができました。

短い滞在でしたが、このように大変充実した研修として終えることができたのは、さくらサイエンスプログラムからの多大なご支援の賜と感謝しております。