2016年度 活動レポート 第333号:日本獣医生命科学大学獣医学部

2016年度活動レポート(一般公募コース)第333号

アジア地域における獣医療国際ネットワーク構築促進プログラム

日本獣医生命科学大学獣医学部獣医学科
基礎獣医学部門形態機能学分野教授 尼﨑 肇さんからの報告

本学では、平成28年11月30日から12月6日にかけて、さくらサイエンスプログラムの支援を得て、東アジアの海外学術交流協定校から11名の研修生を受け入れました。

写真1
本学動物医療センター長による施設案内および説明

研修生は、台湾(中興大学)、韓国(全南大学)、タイ(カセサート大学)の3大学、および大学付属動物病院に所属する若手教員及び大学院生11名(女性7名、男性4名)です。

研修は7日間の日程で、本学の動物医療センターを中心に、麻布大学および東京大学、日本動物高度医療センター川崎にご協力をいただき、特別講義の受講、および各動物医療センター等の施設見学などを行いました。

写真2
大学院生による獣医腫瘍学に関する特別講義
写真4
本学付属ワイルドライフ・ミュージアムを見学し、里山に住む野生動物の生活や人間社会との関係を学ぶ様子

今回、さくらサイエンスプログラムを実施し、「本邦の小動物の臨床獣医医療の概略をASEAN地区の大学の教員や研究者に理解して頂く」という目的が達成されたと感じております。

その結果、当大学でこれまで実施しておりました国際交流事業の展開においても、非常に良いデータを得ることができました。

兼ねてよりASEAN地域の大学とは、個別にそれぞれの大学間での国際協力事業としての双方の学生や研究者の招へい、あるいは大学院生の受け入れおよび学位修得への指導などは行って参りました。

しかし、獣医学臨床医療に関連する部門への見学、技術の修得などを、獣医療先進国である日本において体験したいという要望が高まっていながら、これらの要望への対処は十分ではありませんでした。

その原因は、日本の基本的な獣医療、特に小動物臨床医療への理解や知識が、対象とするASEAN地域の大学の方々に十分理解されていないこと、本校だけで全ての小動物医療に関する要望を充足することは難しいことに起因しておりました。

今回さくらサイエンスプログラムを実施して、さらに日本のできるだけ多くの関連する機関の協力が必要であることを強く確信しました。

今後さらに、本邦における小動物臨床医療の十分な理解をASEAN地区の大学の教員や研究者に広め、このさくらサイエンスプログラムが小動物の獣医臨床医療の面で幅広く理解されることが必要であると考えます。

また短い準備期間であるにもかかわらず、麻布大学、東京大学、および日本動物高度医療センターという、首都圏における代表的な小動物獣医療機関でプログラムの一部を実施できたことは、当初の目的でもある、本邦における小動物臨床医療の概略を紹介できたものとして、評価すべきものと考えております。

写真7
麻布大学いのちの博物館見学後の集合写真
写真5
日本動物高度医療センター川崎での特別講義

写真3
東京大学付属動物医療センターの施設見学およびアジア獣医療ネットワーク構築の重要性に関する特別講義

また、それぞれの協力機関でも非常に好意的、かつ熱心に今回のプランを実施していただいたことに対し、重ねて御礼申し上げます。

今後の展開としても、さくらサイエンスプログラムの実施により、今回ご参加頂きました首都圏の獣医系大学、および関連機関間における連携がより高まったものと考えております。

また、参加者の1名より、平成30年度に本学大学院獣医学専攻博士課程への入学を希望している旨連絡があり、関係者一同嬉しく思っております。

今後も、高度化したこの領域におけるさらなる国際交流を、次年度以降継続して実施できるよう、日本の獣医関連機関と連携して実施できるように努力を重ねて参ります。

写真6
各国から代表1名による研修成果発表プレゼンテーションの様子
写真8
研修報告発表会兼送別会時の集合写真