2016年度 活動レポート 第252号:東京海洋大学海洋工学部

2016年度活動レポート(一般公募コース)第252号

GNSS国際サマースクール2016開催報告

東京海洋大学海洋工学部からの報告

東京海洋大学海洋工学部では、国際的に通用する衛星測位分野の我が国の技術者を育成すると同時に、発展途上国からの人材を受け入れて教育する国際貢献を目的として、2013年にGNSS国際サマースクールを立ち上げました。

第4回目となる本年度は、2016年8月1日(月)~6日(土)の6日間、東京海洋大学越中島キャンパスにて開催しました。発展途上国からの人材受け入れのために、さくらサイエンスプログラムから10名分の支援を受けました。

100余名もの応募者の中から、企業からのサポートを含め19名の奨学生を決定し、他に海外からの自費参加者7名と日本人参加者の計40名でスタートしました。

講義は土曜日を含む全日8時30分~17時20分、5コマ/日とかなりタイトなスケジュールで行い、座学だけでなく実習や特別講義等を挟むことにより、集中力を維持することができました。

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RTK-LIB実習。「習うより慣れろ」でも習うことも大事です。

初日は海洋工学部長の歓迎の挨拶と簡単なガイダンスに引き続き、GNSSの測位原理について、総合的な分かり易い解説がなされました。その後は参加者と講師陣等による自己紹介を行い、歓迎パーティーで互いに親交を深めました。

ウエルカム・パーティー

2日目はGNSS受信機から得られる擬似距離の生データを用いて、正確な測位結果を得る過程について詳しく解説がなされ、同時に測位プログラムの演習も行いました。

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測位プログラム演習

3日目はGNSS受信機に関しての講義とソフトウエア受信機に関する講義が実施されました。

4日目は、高性能と世界的にも評価の高い、GNSS測位用のプログラムパッケージの内容と使用法について開発者から直接、詳しい説明があり、各自のPCにダウンロードしてその性能を堪能しました。また、GNSS受信機のセットとアンテナ等が無償で各自に提供され、cm精度の測位が可能となる技術を習得しました。

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ソフトウエア受信機実習。こちらも「習うより慣れろ」です。

昼食後は東京湾クルーズ船上での測位実習で、リアルタイム測位を体感しました。

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東京港クルーズ。ちゃんと測位実習もやりました。
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バーチャル・ブリッジで東京港クルーズ(キャンパスツアーにて)

5日目午前中の2コマでは、GPS受信機を各自のPCで実現する実習を行いました。前日配布されたアンテナに加えて、フロントエンドも提供されて、開発者自身の指導で、各自のPC上でGNSS受信機の動作原理を学びました。

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ランチタイムで貴重なネットワーク創り

午後はシステム・デザインの講義とグループ・ディスカッションが行われました。10年後の衛星測位環境の進歩から生じる問題点について、グループごとに熱心な討議が行われ、その成果の発表が行われました。

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グループ・ディスカッション後の集合写真

終了後のお別れパーティーでさらに親交を深めるとともに、再会を誓い合いました。

6日目の午前中は屋内測位とGNSSシミュレータの講義とデモ、昼食後は海外からの参加者による自国および自身のGNSS応用事情・研究事情の報告後、修了証の授与で幕を閉じました。

折角なので日本文化に触れる機会が欲しいという要望も挙がりましたが、終了後に行ったアンケートでは、スクール全体の満足度は非常に高いものとなりました。

この試みが我が国の技術者のレベルアップと国際貢献・国際協力の礎となればと願う次第です。

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GNSSサマースクール集合写真・講師陣もスタッフも