2015年度 活動レポート 第8号:白川英樹先生の実験教室にアジアの高校生110名が参加

さくらサイエンス・ハイスクールプログラム 第8号

導電性プラスチックを実験で合成
白川英樹先生の実験教室にアジアの高校生110名が参加
さくらサイエンス・ハイスクールプログラム・第1班

国立研究開発法人科学技術振興機構

5月13日、さくらサイエンス・ハイスクールプログラムで来日中の高校生(インド50名・タイ40名・フィリピン20名)計110名が、2000年にノーベル化学賞を受賞した白川英樹博士の実験教室に参加しました。
この実験が行われたのは芝浦工業大学豊洲キャンパスで、実験には同大学の22名の学生たちもティーチング・アシスタント(TA)として加わり、白川先生とともに高校生の指導にあたりました。

実験教室のテーマは「Let’s fabricate a conductive polymer EL device 」。導電性プラスチックを実験で合成し、さらにこれを素材に有機EL素子を組み立てようというものです。

全員、白衣とゴーグル、さらにゴム手袋でしっかり身を固め、実験に臨みます。まず、最初は白川先生が、プラスチックの化学的構造を解説し、自身が開発してノーベル賞を受賞した導電性プラスチックの性質などを説明しました。高校生たちは一言も聞き漏らすまいと熱心に先生の講義に聞き入っています。

そしていよいよ実験です。国別のグループに分かれた高校生たちはTAの指導のもと、実験にとりかかりました。途中、白川先生はそれぞれのテーブルを回って、アドバイスを与えたり、生徒たちの質問に丁寧に答えたりと大忙しです。

「このやり方でいいのかな」と確認するインドの高校生たち

TAからの説明も受け、実験に臨みます。


「これだけの大人数の実験教室は初めてでたいへんですけど、皆とても意欲旺盛なので指導していて楽しいです」と白川先生。

白川先生も各グループをこまめに回り指導します。

そして、いよいよ最後に出来上がった有機EL素子が本当に電気を通して光るかどうかの確認です。するとあちこちで拍手がおこり、「ワーッ」と歓声があがりました。実験は大成功です。

いよいよ最終確認。光った瞬間をスマホに収めます。

「このような体験ができてとても嬉しい」とインドの高校生Raghav Prasad君。


「白川先生は偉い科学者なのにとてもきさくですね」とフィリピンのIvan Joshua 君

「EL素子が光った瞬間、とても興奮しました」とタイの高校生Chalida Krataithong さん


実験を見守っていた引率者のひとり、インドのCathedral & John Connon School のMayadas副校長も「素晴らしいですね。ノーベル賞受賞者に直接指導を受けるなんて、子どもたちにとっては多分一生に一度のことでしょう」と感激しきりです。

「宇宙飛行士やノーベル賞受賞者に実際会うことで、子どもたちの科学に対するモチベーションはとてもあがります」と語るインド・Cathedral &John Connon School の先生たち

実験の後は、質疑応答や白川先生とのフォトセッションの時間も組まれていましたが、高校生たちは帰る間際まで先生を取り囲んで次々と質問したり、先生と一緒の写真をお願いしたりと、まさに興奮冷めやらぬ実験教室でした。

実験が大成功で大喜びのタイの高校生たち

最後にTAの芝浦工大の学生さんたちとも記念撮影です。


実験の大成功に白川先生も高校生も満足の表情です。

最後の最後まで、質問に丁寧に答える白川先生。「さらに分からないことがあれば、メールをください」とメルアドまで書いてくださいました。