2015年度 活動レポート 第252号:福井工業大学

2015年度活動レポート(一般公募コース)第252号

福井の地域産業から学んだタイの大学生たち
福井工業大学からの報告

平成25年10月5日より12日までの8日間、さくらサイエンスプログラムのご支援を受け、タイ王国ネーション大学から6名の学生が福井工業大学を訪れました。

「生業」や「商い」につながる地域の技は、世界へ展開する高度な技術、産業の礎となっていることを両校学生に体験的に学んでほしいとの願いから、ネ-ション大学と本学学生は、「共に学び、発想する」ことを重点に科学技術、伝統技法、地域産業について講義と見学ツアーに臨みました。

活動の様子2
講義「福井の産業と技術」

学んだことを共有し教え合いながら「科学技術・伝統技術を活用した産業イノベーション」をテーマにアイデアをまとめてゆくワークショップを実施しました。連日に及ぶ見学ツアーの後は、ミーティングを行い1日の成果を共有しました。

10月5日

福井県産業支援センターより強力氏を講師にお招きし「福井の技術と産業」と題し講義をいただきました。福井県内の高度なハイテク技術から漆や和紙など、伝統産業についてもご紹介いただきました。翌日からの見学ツアーに備え、福井の技術・産業の基礎知識を教えていただきました。両校学生は、新しい発見や感じたことを話し合い、「発見」から「発想」へつなげるブレインストーミングプログラムの練習を行いました。

10月6日

ひとり一台のカメラとメモ帳を持ち見学ツアーに出発しました。1社目は福井めがね工業株式会社を訪問。チタン加工を中心に生産方法や技術開発について現場を見学しながら教えて頂きました。「ジャパンハイクオリティの秘密が分かった。」との感想。その後、越前漆会館へ移動し漆の科学的性質と生地と塗りの技術について説明を受けました。また工芸作家の工房や新しいデザインで販路を広げる山口工芸本社を見学し伝統工芸から現代産業へと伝承される技術とこれからのモノづくりの考え方についてディスカッションを行いました。

活動の様子3
福井めがね工業にて

10月7日

繊維メーカー松文産業株式会社を訪問。繊維産業の歴史から未来の最新技術までを講義いただき、工場を見学させていただきました。その後、伝統産業が息づく勝山市街地を散策しました。

活動の様子4
繊維製造技術の解説(松文産業)
活動の様子5
松文産業にて記念写真

10月8日

越前陶芸村を訪問。古来より伝わる越前焼の技法から現代生活における製品としての越前焼について解説いただきました。また、茶室で茶道体験を行い文化的な側面についても知識を得る機会となりました。

活動の様子6
越前焼茶碗で茶道体験

午後より、和紙の里紙の文化博物館を訪問し日用雑貨から自動車部品にまで用いられる越前和紙について、工房見学と紙漉体験を行いました。和紙の製法や特性を学んだ後、多くのアーティストに和紙を提供し世界的に和紙ビジネスを展開する杉原商店杉原吉直氏と伝統産業、越前和紙について懇談する機会を持ちました。

活動の様子7
越前和紙工房見学
活動の様子8
和紙漉体験

ネーション大学ランパーン校周辺には、古くから紙すきと窯芸(ランパーン焼)が根付いており、福井と似た地場産業を持つため、今後の発展について多くのヒントを得られたとのことでした。

10月9日

メンバーそれぞれがカメラに納めた15000枚の写真を元に、これまでに得られた「発見」と「学び」を紹介し合いました。「経営・仕組みづくりチーム」と「モノづくりチーム」の2班に分かれイノベーションのための「新しいアイデア」についてディスカッションし、アイデアをまとめました。

活動の様子1
ディスカッションの様子

10月10日

本学大学祭と同時に開催されたネーション大学・福井工業大学2ndジョイントシンポジウムにて両校合同2チームによる成果発表を行いました。文化、言語の違う両校学生が協働・協創しながら成果をまとめられたことは大変有意義なことでした。コミュニケーションがちゃんと取れるのか?という心配をよそに、6日間のワークショップを通して実によく話し、よく笑い、活き活きとした「学びの時」を得ることができました。数ヶ月たった今でもSNSを通して学生間のやりとりが盛んに続いております。このプログラムによって新たな交流の一歩を踏み出すことができました。

活動の様子9
成果発表の準備
活動の様子10
ワークショップの成果発表