2015年度 活動レポート 第168号:宮崎大学

2015年度活動レポート(一般公募コース)第168号

口蹄疫を乗り越えて築き上げた最先端の防疫技術と今後の体制
宮崎大学からの報告

宮崎大学

宮崎県では、2010年度に口蹄疫により約30万頭の牛豚を殺処分し、翌年には鳥インフルエンザの発生により約100万羽の鳥を殺処分するなど家畜感染症被害が相次ぎました。宮崎大学ではこれらの経験を糧に動物防疫のノウハウを蓄積し、研究活動を活発化する一方で、国際連携による家畜防疫の実施に向け、アジア地域における本学の国際拠点化を目指し、各国の若手研究者に対する研修プログラムを多数実施しています。今回はさくらサイエンスプログラムを利用して、ベトナム国立大学農業大学から10名を招聘して短期研修を実施しました。

ベトナムが口蹄疫発生国であることから、日本到着後に都内の日本科学未来館や目黒寄生虫館において研修を行いました。その後、宮崎県(宮崎大学)に移動して、人獣共通感染症に係る講義を受けるとともに、各研究室に配属され実習を行うなど、家畜防疫に重点を置いた獣医学分野での研修を実施しました。

10月1日には、宮崎県及びベトナム国立農業大学との共催により、グエン・スアン・チャック(ベトナム国立農業大学副学長)をはじめベトナム農業・農村開発省幹部11名を招聘し、日越家畜感染症防疫シンポジウム(Vietnam – Japan Joint Symposium on Infectious Disease Control for livestock)を宮崎市内のホテルで開催しました。

10月1日(木):シンポジウムにおいて宮崎県農政水産部家畜防疫対策課による基調講演を真剣に聞く
10月1日(木):シンポジウムにおいて歓迎挨拶を行う水光正仁宮崎大学理事

10月1日(木):シンポジウムにおいて基調講演を行うNguyen Xuan Trachベトナム国立農業大学副学長
10月1日(木):シンポジウム終了後の様子

本シンポジウムは、鳥インフルエンザや口蹄疫の災害を乗り越えて築き上げてきた本県における最先端の防疫体制を紹介するとともに、アジア地域における国際的な防疫体制の確立に寄与することを目的として開催しました。開会に先立ち、水光正仁宮崎大学理事が歓迎の挨拶を述べ、続いて、チャック副学長から、両国の更なる交流に向けた期待が述べられました。

宮崎大学は2005年にベトナム国立農業大学(旧ハノイ農業大学)との交流協定を締結し本格的な交流を開始して以来、特に、医学および獣医学の分野において盛んな学生・研究者交流を行っており、同大学からの約10名の若手研究者・教員等が本学医学獣医学総合研究科の学生として在籍しています。

また、宮崎県小林市、えびの市、高原町において実施した農村民泊および就業体験には、ベトナム関係者および宮崎大学関係者の合計30名が参加しました。これらの活動を通して地方の美しさとともにその地域に暮らす人々の温かさを体験してもらい、最後は涙の別れとなり、記憶に残る研修となったことと思います。

10月2日(金):口蹄疫メモリアルセンター(川南町)を視察するベトナム国立農業大学若手研究者・学生
10月2日(金):農村民泊体験の入村式の様子(ベトナム国立農業大学若手研究者、学生並びにベトナム農業・地域開発省関係者)