2015年度 活動レポート 第23号:九州工業大学大学院生命体工学研究科

2015年度活動レポート(一般公募コース)第23号

持続的環境保全のためのグリーンイノベーション技術を生み出すアジア国際交流

九州工業大学大学院生命体工学研究科

7月20日~29日の10日間、さくらサイエンスプログラムの支援を受けて、インドネシアの北スマトラ大学から教員2名と大学生2名、中国の中国科学院都市環境研究所から研究員1名と大学院生2名、国立台湾科技大学から大学院生3名を招聘し、九州工業大学大学院生命体工学研究科に在籍の7名の日本人学生、2名のマレーシアからの留学生、さらに日本学生支援機構の海外留学支援制度(双方向交流)で来日しているマレーシアプトラ大学からの留学生を交えて、「持続的環境保全のためのグリーンイノベーション技術を生み出すアジア国際交流」プログラムを実施しました。

前田准教授による本プログラムの説明と問題提起

本プログラムの目的は、経済発展が進んでいるアジア地域で将来、より深刻化すると考えられる環境汚染問題に対して、アジア諸国で将来に向けてどのように取り組むべきか議論を交わし、将来の持続的な地球環境保全に必要な取組みや技術開発などを創造することでした。そのため、過去に重度な環境汚染を克服し、環境と経済を両立した「グリーン成長モデル都市」として経済協力開発機構に認定された北九州市での過去から現在までの取り組み、北九州市の発展を支えてきた企業での環境保全・エコに関する取組み、および北九州市内の大学(九州工業大学と北九州市立大学)での最新の環境技術・社会技術に関する取組みを学ぶ研修を行い、それらの研修から修学したことを含めて、最終日にインドネシア、中国、台湾、マレーシア、日本の5カ国のグループによる討論を行い、現在の環境汚染問題の現状、今後必要な取組み、技術開発などに関して意見交換を行いました。

九州工業大学エコタウン実証研究センターの視察の様子

7月22日は、新日鐵住金株式会社八幡製鉄所において、鉄製品が作られるまでの過程、その過程で排出される廃棄物や排ガスの有効利用法などについて、環境ミュージアムでは過去の重度な環境汚染をどのように克服してきたのか、その歴史などについて学びました。

新日鐵住金八幡製鉄所施設内での集合写真
日明ゴミ焼却場の事業内容を聞く様子

7月23日には、日明ごみ焼却工場、日明粗大ゴミ資源センター、日明かんびん資源化センター、日明浄化センターを視察し、市内で排出されているゴミ類がどのように処理されているのか、または資源利用されているのか、またはどのように下水処理が運用されているのかを修学しました。

日明下水処理場の視察の様子
日明下水処理場での集合写真

7月24日は、シャボン玉石けん株式会社の工場見学で環境に優しい石けん作りを学びました。また、九州工業大学大学院生命体工学研究科の研究室見学と北九州学術研究都市の視察を行いました。

シャボン玉石けん工場の見学の様子

7月27日は、TOTO株式会社小倉工場の視察で、トイレ作りの基礎から最新のエコ技術の研修、そして、九州工業大学の戸畑キャンパスにて九州工業大学の歴史についての研修を行いました。

TOTO株式会社小倉工場で説明を聞く様子
九州工業大学戸畑キャンパスでの視察の様子

7月28日は、午前中に研究科長との面談のあと、インドネシア、中国、台湾、マレーシア、日本の5つのグループで発表および討論、また九州工業大学大学院生命体工学研究科および北九州市立大学国際環境工学部の研究室視察を行い、最新の環境技術・社会技術を修学しました。その後、招聘者にさくらサイエンス修了書の授与、ならびに送別会を行いました。

研究科長との集合写真

本プログラムが進むにつれて、招聘した留学生同士、招聘した留学生と日本人学生同士が真に仲良くなって信頼関係が強くなっていることが日々感じ取れました。この連携と一体感は、今回の交流プログラムを通じて得られた掛け替えのないものです。本プログラムに参加した招聘者の皆さんも、また九州工業大学の日本人学生・留学生も、今回の貴重な経験で得たものを今後に活かしてほしいと願います。

最後に、本プログラム実施の機会を与えた頂いたJSTの皆様、快く対応していただいた見学先の方々、そして本プログラムの実施を支えて頂いた本学のスタッフの皆さんに深く感謝申し上げます。