2015年度 活動レポート 第3号:神奈川工科大学情報学部

2015年度活動レポート(一般公募コース)第3号

タイの名門チュラロンコーン大学の学生と情報工学において交流

神奈川工科大学情報学部

5月20日~29日の日程で、JST「さくらサイエンスプログラム」の支援を受け、タイ・チュラロンコーン大学から学部生6名を招き、神奈川工科大学情報学部にて短期研修を実施しました。研修期間中は学内外の施設見学・訪問や、情報学部教員による特別講義の受講などを含む研究室での体験実習を行いました。

チュラロンコーン大学と神奈川工科大とは2012年に学術交流協定を締結し、チュラロンコーン大学ではDepartment of Imaging and Printing Technology(Faculty of Science)、神奈川工科大では情報学部3学科を中心として画像工学・情報工学の分野で活発に交流を行ってきました。これまでは教員間の交流が中心でしたが、今回は学生間の技術交流・文化交流を促進するため、チュラロンコーン大から初めて学部生を招きました。

来日当日にはガイダンスを行い、歓迎会を開きました。翌日には学内施設見学の後、小宮学長を表敬訪問しました。また、学生たちは2人一組になって自分たちで選んだ研究テーマに取り組むため、所属研究室で教員や先輩たちから研究の進め方について説明・指導を受けました。3日目以降は、2日間を学外施設見学・研究機関訪問にあて、残りの6日間で研究室体験と課題設定を行いました。

画像:小宮学長を表敬訪問
小宮学長を表敬訪問

5月24日には、日本科学未来館を見学しました。本学の日本人学生・留学生との交流も兼ねて学生団体「インターナショナルクラブ」と共同で訪問し、引率者3名を含む総勢29名が参加しました。タイの学生たちはもちろん、同館を初めて訪れた本学の留学生たちも、「ASIMO」や「オトナロイド」の実演、UNI-CAB、Geo-Cosmosなどのユニークな展示に興味津々で、じっくりと館内を見学し、有意義な時間を過ごしました。

画像:日本科学未来館にて
日本科学未来館にて

5月26日には、茨城県つくば市にある産業技術総合研究所(産総研、AIST)と宇宙航空研究開発機構(JAXA)を訪問しました。産総研では、広報担当の方がこれまでの研究成果の一部を英語で説明してくださり、学生たちはその説明に真剣に耳を傾けながら、施設内の展示を細部まで見て回りました。癒し型ロボット「Palo」は特に女子学生に人気がありました。JAXAでは、スペースドームの中にある人工衛星のモデルや宇宙ステーション「きぼう」の実物モデル、宇宙飛行士訓練施設、人工衛星搭載機器、「きぼう」との通信施設などを見学しました。これらの見学・訪問については、各機関の関係者の方々より特別なご配慮、ご協力を賜りました。この場をお借りしてお礼申し上げます。

画像:JAXAを訪問
JAXAを訪問

学内の研究室体験では、3組がそれぞれの研究テーマを“Copyright Protection for 3D Printings”、“Information Hiding Technology for Digital Signage”(指導教員:情報ネットワーク・コミュニケーション学科 上平教授)、“Device Optimization for /Advancement of ExPixel Technology”(指導教員:情報メディア学科 白井准教授)に定め、各研究室で課題設定に取り組みました。研究室体験の成果は、さくらサイエンスプログラムの支援による10日間の短期研修が終了した後、続けて本学で行われた研修の初めに「研究企画発表会」として披露されました。また、5月29日には情報ネットワーク・コミュニケーション学科 井上教授による講義「Multi-Screen System and Virtual Environment」を行いました。

画像:3Dプリンタ著作権保護実験
3Dプリンタ著作権保護実験
画像:3Dプリンタ著作権保護実験
大学内の研究室を訪問

画像:研究企画発表会(1)
研究企画発表会(1)
画像:研究企画発表会(2)
研究企画発表会(2)

当初の計画では10日間で3つの特別講義を実施する予定でしたが、上記の課題設定を優先するため日程を変更し、残りの2つは6月に延期して行われました。6名は引き続き2カ月間日本に滞在し、学内での特別講義の受講や研究室訪問を交えながら上記の研究を継続して成果をまとめ、8月5日に帰国する予定です。

さくらサイエンスプログラムの支援により実現した短期研修は、来日したタイの学生たちにとって日本の最先端の科学技術に触れ、日本での生活・留学体験をする貴重な機会になりました。同時に、本学の日本人学生たちにとっても、タイの学生たちを通じて異文化に触れ、英語でのコミュニケーションに挑戦し、またその能力を高めるのに大いに役立ちました。

本研修に参加した学生たちは皆優秀かつ真面目で、学内外の見学・訪問の際も真摯な態度で説明に耳を傾け、質問をしていました。また、研究室体験では自国で学んできた分野と専門の異なる内容にやや苦戦しながらも、持ち前の明るさと、研究室の仲間たちやチュラロンコーン大学の先輩であるDr. Piyarat Silapasupphakornwong(本学ヒューマンメディア研究センター非常勤研究員)のサポートにより、日本での学生生活を楽しんでいる様子です。全員が将来、留学や就職など、何らかの形で再び来日したいという想いを持っていて、彼らの今後の活躍が期待されます。

画像:さくらサイエンスプログラムの修了証書を受け取り、全員で記念撮影
さくらサイエンスプログラムの修了証書を受け取り、全員で記念撮影

今回の研修をきっかけに、神奈川工科大とチュラロンコーン大学との学部レベルでの関係はさらに深まり、今後は定期的な学生の受入れや国際ワークショップ等への相互参加を通じて交流を続ける予定です。最後に、本研修に対していただいた国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)のご支援と、関係者の方々のご指導・ご協力に心より感謝申し上げます。