2014年度 活動レポート 第20号:北京市陳経綸中学 吴 敏

修了者・教員らからの声 第20号

「国際交流は相互理解」を実践できた素晴らしいプログラム

吴 敏
北京市陳経綸中学・音楽教師
2009年6月中国音楽学院終了(音楽教育学修士取得)。
中高生へ音楽を通して表現力を養う教育に携わる。
2012年より現職。

さくらサイエンスプログラム実施内容について

受入機関 学校法人桜美林学園
送出し国・機関 中華人民共和国・北京市陳経綸中学
招へい学生数 9名
招へい教員などの数 1名
実施した期間 2014年7月13日(日)~7月20日(日)
 

研修だけでなく日本文化にも触れるプログラム

「さくらサイエンスプログラム」のプログラムの趣旨は、
①日本国の最先端の科学技術の現場を体験的に理解する。
②日本の同年代の学生との国際交流を深める。
でした。

このため受け入れ側である桜美林学園は、桜美林大学を中心に化学、物理、地球科学、環境、宇宙科学などを対象とした講義をプログラムに組んでいただきました。これに加えてJSTのPF事業である日本科学未来館とJAXA宇宙航空研究センター、東京都環境局、東京都町田市清掃局を訪問しました。

学園高等部とで互いの研究成果発表などをしました。更に合間に日本文化にも触れる 機会を多く組み込んでいただきました。

準備は不十分だったがプログラム内容は充実

今回の参加にあたり、当方の桜美林学園側への申し入れが急であったため十分な準備が取れなかったことは当方としては大いに反省しなければなりません。同時に当方の申し入れを受け入れていただいた桜美林学園には改めて御礼を申し上げたいと思います。

さて、プログラムの内容について、参加した講義、参観した施設など全てが我が校の生徒にとっては驚くものばかりでした。今回視察した施設は、中国では到底訪問することは出来ない施設ですし、世界最先端の技術を広く一般に開放している点はとても大きな驚きでした。

大学での講義は高校生が対象ということでレベルに合わせたカリキュラムを組んでいただいたと感じました。

参加生徒たちは相互理解で大きな効果

まず、参加した生徒の率直な感想を以下に記します。
①日本人は優しい、丁寧、礼儀正しい。
②日本は清潔である
③交通が便利
④施設参観の自由度が高い

参加者全員が始めての日本訪問であり、本国で見聞きしていた事項と実際に目にしたのとの違いに多少なりとも驚いていました。少なくとも以前持っていたマイナスイメージは払拭されたならば、プラン主目的の一つである国際交流(=相互理解)という観点では良かったのではないでしょうか。

例えば宿泊先での食事会場でのことです。とにかく清潔感に溢れており従業員の方々の親切な態度には驚くばかりでした。同じことが桜美林学園の食堂でも言えます。生徒達と議論したわけではないですが、全員が出国前に中国で聞いていた“日本は清潔である”“日本人は親切である”ということを実体験したはずです。
本校にも食堂はありますが、“何が違うのだろう” “なんで違うのだろう”と個々人が考えたはずです。

東京都町田市清掃局を視察しました。中国では参観することなど考えられない出来事です。徹底したゴミの分別、そのゴミを再利用する技術もさることながら、“市民の意識” “センター存在の意義”には大変感心させられました。
東京都環境局を訪問し地域エネルギーのシステムを参観しましたが、中国では参観することなどあり得ない事を普通のこととして国民に公開していることに驚きを隠せません。

テーマの絞り込みなど今後の課題

以下の点を次回以降考慮すべき点として申し上げます。

1)「テーマ」の絞込み
受け入れ側と事前に協議し「テーマ」を共有することが重要かと思います。プログラム期間は短期間であるため、そのテーマに沿った講義、研究発表、施設参観であれば更に充実したものになると思います。
2)人選
例えば本校では宇宙科学、ロボット工学などを課外活動において積極的に取り組んでいます。これはここ数年間継続しているものであり資料、研究成果なども披露できるものです。そのテーマに沿った人選を行えば“日本はこんな研究をしているんだ” “この点は気がつかなかった” “こうすれば解決できるんだ”というようにより具体的に「発見・再認識・より深い理解」を体験できるものになったのではないでしょうか。
3)国際交流
今回参加したことで本校にとっては科学をキーワードとした“国際交流が始まった”と言えます。
議論をしたり(=持論を展開)、双方を認め合うことはとても有意義なことと思います。出来る事なら共有テーマでもっと多くの時間を費やし、同年代の若者とディスカッションをすることも知識も高まり相互理解にも繋がることでしょう。やがては共同研究などに発展できれば素晴らしいことと思います。

そのためには今後も継続して実施されることを望みます。いくつかテーマを確定しておき、各テーマに沿った受け入れプログラムを用意し、それを選択できるという考えです。本校で言えば、宇宙関連とかロボット関連になるのでしょう。
そうなると当方が選択したプログラムには他国の学校・団体と一緒に講義を受けたり視察することも可能かもしれません。同時により多くの若者とも交流ができるのは非常に貴重な経験になると考えます。

謝辞

本プログラムを実施するに際し、JST、受け入れ先の桜美林学園、参観の機会を下さった全ての機関、講義をして下さった先生方に対し、心より厚くお礼申し上げます。