2023年度 活動レポート 第126号:山梨大学

2023年度活動レポート(一般公募プログラム)第126号 (Aコース)

Cultural and Educational Exchange Program for Cambodian University Students

山梨大学からの報告

 2023年9月20日~9月26日、カンボジアの3大学(カンボジア工科大学、インターナショナル大学、カンボジア王立プノンペン大学)から、大学生9名、教員1名、計10名を招へいし、カンボジアの大学で学ぶ学部生、修士課程の学生を対象としたプログラムを実施しました。特に、日本の大学院に進学することを希望する学生を対象に、入試までの準備をサポートすることを目的とした活動を提供しました。具体的には、学生自身の専門と近い分野の研究室への訪問、研究計画書の作成方法に関する指導を行いました。また、地域課題解決のために、その専門性を応用している企業への訪問、日本文化体験を通じた現地学生との交流も実施しました。

研究計画書の指導と発表:

 今回、プログラムへの参加要件として、研究計画を自分なりに立てた上で、本学が指定する書式に基づいて作成してくることを定めました。本プログラムでは、来日後に、作成してきた研究計画書を元に指導を行いました。具体的には、担当教員から研究計画書の作成方法に関する講義を受講した後に、既に本学に入学している留学生をメンターとして、研究計画書の修正を行いました。教員からだけでなく、同じ背景を持ちながら、大学院入試をクリアしている留学生からアドバイスを貰う機会を提供することで、参加学生が研究計画を立て、研究計画書を修正する上で多くの有用な情報を提供することができました。また、最後には、修正した研究計画書を基にプレゼンテーションを作成し、プレゼンテーション大会を開催しました。研究のプレゼンテーションは、大学院入試のプロセスの中でも実際にあるものなので、そのプレゼンテーションを既に入試を経験している先輩方の前で行い、フィードバックを得られたことで、本番の入試に備えて何が必要かを体験的に学ぶことができました。

活動レポート写真1
研究計画書指導とプレゼンテーション

山梨大学の研究室訪問:

 参加学生の専門に応じて、生命環境学部と工学部の研究室を訪問しました。生命環境学部では、大学院生が使用可能な実験室などの設備を見学しました。特に、講義で使用する設備だけでなく、大学院生が専用で使えるコンピューター室や、実験室が整備されている点が好評でした。工学部では、スマートグラスを通じて、ぶどうの房を見ることで、摘粒されるべき果実が指定されることで、本来長年の経験が必要とされた摘粒の作業が、だれにでも行うことができるようになることを体験しました。このようにAI研究の農業への応用を体験することで、自身の研究のリアルシーンへの応用についても様々なイメージをする機会を提供することができました。

活動レポート写真2
研究室見学の様子

企業訪問および日本文化体験を通じた現地学生との交流:

 山梨県の特産品であるワイン製造に、半導体工場の技術を応用し、高品質なワインの安定的な生産に成功している「MGV’sワイナリー」に見学に行きました。半導体工場が、ワイン製造を始めるまでに至るプロセスから、自身の専門を様々な領域に応用させるための視野の持ち方を学ぶことができました。また、既存の技術を地域課題に応用するワインの楽しみ方として、その地域性を味わう「テロワール」という言葉を学び、「研究というものも、その地域特性にマッチした形で発展していくのが望ましい」という考え方を提案いただきました。

 日本文化体験では、ふろしきの活用方法について学びました。長い歴史をもつ「ふろしき」が、それぞれの時代背景の中で、どのように価値を変えて我々の生活に受け入れられていたかを学ぶことで、既存研究をどのように発展させていくかという考え方についてのアイディアを得ることができました。

活動レポート写真3
ワイナリーでの企業見学と風呂敷体験

日本科学未来館への訪問:

 日本科学未来館では、自身の関心のあるテーマについて、日本においてどのような先進的な研究がなされているか、日頃の疑問がどのように研究に結びついていくかを学ぶことができました。